分割キーボードについてのお話

この記事は、OIT Advent Calendar 2018の10日目の記事です。

自己紹介

 Kirika_K2という名前でTwitterやってます。2000年入学・2006年卒のOBです。

 あと最近2年に1回、OIT大学院で教鞭を取ってます。
 もはやこのブログは、年1でOIT Advent Calendarを書くだけのブログになってしまった。

kirika.hateblo.jp
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 最近は株式会社ビジネスバンクグループという会社でCTOをやっています。もしRubyRails・Docker・Kubernetes・TypeScript・Angular等の技術領域に興味がありましたら、声かけてください。エンジニア募集中です。
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自作キーボードという沼の話を書きます

 2018年は自作キーボード、分割キーボードという話が賑わった一年でしたね。
 私も例外に漏れず、Ergo42とHelixというキーボードに手を出しました。(ちなみにHelixはまだ未完成)

自作キーボードとは

 メーカー品を買わず、基盤・キースイッチ・キーキャップ・マイコンを調達し、半田ごてを片手に自分でキーボードを自作することを指します。2,3年前ぐらいから海外では話題に上がっていて、私もチャレンジしたいと思っていたのですが、半田ごてに苦手意識があったのと、海外から輸入してまでやりたいというモチベーションがなかったので、羨ましく眺めているだけでした。

 昨年の年末ぐらいから、日本でも自分で基盤を設計してキーボードキットを販売される方が増えてきまして、日本でもメジャーなジャンルとなってきました。私もそれを機に、キーボード基盤を入手し、自作キーボードにチャレンジしました。

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こういうやつです。(写真はErgo42)

自作キーボードが普通のキーボードと違うところ

 自作キーボードは普通のキーボードと違って以下のような特徴があります。

  • (一部の例外を除いて)少ないキーで構成されている

 通常のキーボードは、テンキーを除いて100個程度のキーで構成されますが、自作キーボードは60%キーボード、40%キーボードと呼ばれたりしますが、通常の60%、40%でキーが構成されています。そのため、すべての文字を打つには1文字1キーでは足りないため、モディファイアキー(Fnキー)との同時押しでキー数を補完します。

 市販のキーボードはモディファイアキーは通常用意されたものしか使用することが出来ませんが、自作キーボードは理屈上すべてのキーにモディファイアキーを設定することが出来ます。例えばLet's Splitは左右24キーずつで合計48キーしかありませんが、理論上24(モディファイアキー)×24キーで最大576通りの入力パターンを生成することが出来ます。
 もちろん生成できたところで使いこなせるわけがないので、モディファイアキーの同時入力は覚えられるだけにします。私は5個(記号入力・数字入力・ファンクションキー・Fnキー・マウス入力)にしています。

  • (多くの場合は)分割されている

 自作キーボード=分割キーボードというわけではないのですが、大抵の自作キーボードは左右に分割されています。分割していると打鍵する時に肩が開くため、肩こりしなくて良いなどと言われることがありますが、自分はあまりキーボードを打っていて肩こりになったことがないのでよく分かりません。ただ、分割しているキーボードを使いこなす姿はかっこいいと思います。(小並感)
 また、分割されているとキーボードの間にトラックボールマウスや、Magic Trackpadを置くことができるので、ノートPCと同じような操作感を得ることが出来ます。

  • 普通のキーボードでは考えられないキー配列を作ることができる

 LinuxMacでもキーバインドを変更するツールはありますが、自作キーボードではファームウェアレベルで振る舞いを規定することが出来ます。そのため、普通のキーボードでは考えられないような配列を作ることが出来ます。
 元々普通のキーボードでは、qwerty配列という配列が一般的ですが、これはタイプライター時代にまだ上に直接印字していた時代に、キー同士が絡みにくいように作られた配列で、わざと打ちにくく出来ています。
 他にもDvorak配列など、打ちやすさに特化した配列が過去にも提唱されている他、自作キーボード界隈でも新たにいくつか新配列が提唱されています。(打ちやすいかどうかは個人の感想による)

  • キー軸・キーキャップや基板設計、ケースデザイン等、カスタマイズが無限

 キー軸はCherryMXや互換品、果ては市販のキーボードから剥がして来るなど、沢山の選択肢があります。
 キーキャップもCherryMXタイプのキーキャップなら大抵刺さるので、無限の選択肢があります。

 また、LEDを取り付けることでバックライト加工(キースイッチの裏側にLEDを仕込む加工)やアンダーグロー加工(キーボードの裏側にLEDを貼り付ける加工)ができるため、ここにも無限の選択肢があります。

 ケースも3Dプリンタなどで独自のキーボードケースを設計したり、アクリル加工で作ったり、黒壇などの高級木を使ったキーボードなど、こだわり始めるとキリがありません。
 行き着く最終地点は、CADを使って自分の考えた基盤を設計することです。
 
 元々HHKB Pro2を使っていたので、そこそこ良いキーボードを使っていて、今でも不満はないのですが、10年近く同じキーボードを使ってきたので、そろそろ飽きてきたというのはあるような気がします。また、自作キーボードという最終的に自分が求めるキーボードを追い求めるというところに、ゲームのやりこみに似たようなものを感じています。

デメリット

 PCの自作と同じで、キーボードの値段としては割と高く付きます。
 私が今使っているErgo42と呼ばれるキーボードで、大体2万円といったところでしょうか。
 あと、これもPCの自作と同じなのですが、1個作ると大抵部品がちょっと余るので、その余った部品で2台目が爆誕します。完全に沼の入り口です。

やってみたい?

 これをみて、興味あると感じた方は今年の自作キーボードアドベントカレンダーを読んでみましょう。

adventar.org

 私も積んであるHelixを早く完成させようと思います。
 それではまた来年。